「初音ミクでドワンゴvsクリプトン」事件の素朴な疑問


http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0712/21/news048.html


初音ミクをめぐるドワンゴvsクリプトンで気になる、というか、不思議な点。


まず、楽曲の著作権は当然、その曲を作った人にある。
ので、ソフトメーカーでしかないクリプトンは著作者ではない。
まあ、クリプトンなり声優さんなりに歌唱印税なりプロモ印税なりの形で利益を分配すべきかもしれないけど、それは著作権とはまた別の話。
また原盤権は、その曲を録った人にある。
ので、ソフトメーカーでしかないクリプトンは原盤権者ではない。
これはLogicで制作したからといってアップルに原盤権が発生しないのと同様。
にも関わらず、使用者であるドワンゴが、権利者でもないクリプトンに原盤権著作権の管理についてお伺いを立て、それについて権利者でもないクリプトンが認めるだ認めないだ言ってるのは、素朴に不思議。
もしかして、楽曲クリエーターとクリプトンの間に、何か権利譲渡契約でもあるのかしらん。


あとクリプトンのJASRACに対する態度も不思議。
JASRACは確かにお役所的だし小うるさいし面倒だし縄張り主義的だし問題もいろいろあるが、ただ著作者からすれば、自分のかわりに自分の権利を管理してくれる味方。
権利を使う側のドワンゴが登録するって言うのに、頭ごなしなJASRAC否定はどうなんだ?というのも疑問。
もちろん「というかちゃんとホント管理できてるわけ?そのブランケット方式とかいい加減だしそのくせなんでそんな偉そうなの?あとちょっと間抜きすぎ金取りすぎじゃね?」っていうのはあるのだが、それは別問題。
自分の著作物なのにアレもダメコレもダメは変だっていう気持ちはわかるけど、でも一般論で言えば、著作者にとってJASRACに信託することは悪ではないです。


ちなみに『業界で管理と言えばJASRAC登録を指すのは当たり前』というのは、まあ、そうかな。
イーライセンスって手もあるけど、現状ではJASRACが独占的。
自主管理っていうのもあるけど、数百枚レベルのインディーならともかく、これほどの大ネタでそれは無理。
ていうか、その「無理」っていうのがJASRACのそもそもの成り立ちだったりもするのだが。