今日もみのもんた


テレビは低俗、だそうだ。
下世話でくだらない、そのくせ高給取りのテレビマン共が
下世話でくだらない番組ばかり垂れ流す、というわけ。
たしかに彼らは災害現場で被災者にカメラとマイクをつきつける。
マンネリ化した内輪のバカ騒ぎバラエティを流し続ける。
なぜか。
それを見たいと思う人間がいるからだ。見たくないと思う人間より多く。


営利企業だから利益を出さなければならない。売り上げの柱はCMによる広告収入。
辺鄙な山の中の土地が二束三文のように、誰も見ない番組枠は売れない。
銀座の商業地の地価が高騰するように、人気の番組枠から売れていく。
だから視聴率が重視される。
視聴率至上主義。営利企業としては当然だ。
テレビに主体的で統一的な意思なんてない。代わりにあるのが視聴率。
視聴率が悪ければ、帝王みのもんたの番組でも打ち切られる。
テレビ制作者は視聴率が高い、つまりより大勢が見る番組を作ろうとする。
ニュースでさえそう。トップニュースはおどろおどろしいBGMに乗って伝えられる殺人事件か、あるいは力士の変わり映えしない日々について、もしくはナントカ王子の動向。
みんなこれが見たいんでしょ?とばかりに。


もしテレビが低俗だとしたら、それはそれを見る大衆が低俗だからだ。
つまり僕や、あなたや、僕やあなたの父ちゃんや母ちゃんや兄貴や弟や妹や姉ちゃんやばあちゃんやじいちゃんや彼女や愛人や上司や部下や使用人やいきつけのスナックのママやお気に入りのヘルス嬢が低俗だからだ。


大衆は雑多で混沌としていて下世話だ。
テレビはそんな連中に媚びず、高尚な番組を流すべきだろうか?
視聴率の代わりに、主体的で統一的な意思を持ち、大衆を啓蒙すべきだろうか?
それならば何を放送するのだろう?
手始めにどこぞの名誉教授や総研アナリストや人間国宝に30分ずつ渡してみるべきだろうか?
シュールな笑いで社会風刺なんかをしちゃうアングラ演劇人や、下ネタ差別ネタ何でもアリの、でも知能指数高めのモンド系ライターにゴールデンタイムを任せてみるべきだろうか?
トップニュースは正義のニュースキャスターが決めるべき? それとも報道部長? いやマスゴミなんかに任せてはおけない? 誰か偉い人? 誰? 誰がこれが今日の一番重要なニュースですと決めるべきだろう?


大衆は無知で低俗だ。
タバコを吸うし、酒も飲む。ジャンクフードを貪るし、ゴム無しでセックスをする。すぐ怠けるし、不平を言う。
そして、テレビはそんな大衆の欲望の鏡。
テレビの画面には今日もみのもんた


僕はそれで構わない。